住民感情としてのプライバシー――ストリートビューにみる公と私

All clear for Google Street View ―― BBC NEWS
情報委員会(Information Commissioner)がGoogle Street Viewにある種のお墨付きを与えたようです。
BBCが引用しているDavid Evans氏の発言はこちら(PDF)です。


Information Commissionerなんて組織があるのを知りませんでした。
英国法務省がスポンサーとなって誕生した独立行政法人のような団体みたいです。
そもそも個人データ保護を目的としていたようです*1


概要を掻い摘んで説明すると、
プライバシー侵害の虞という小規模なリスクに対応する必要があるが、だからといってストリートビューというサービスを停止すべきでない。
Privacy InternationalはInformation Commissionerに対してストリートビューに個人を特定できるような顔の画像が映し出されることを理由に*2サービス凍結(be suspended)するように訴えた。
Google側はFace blurring(顔やナンバープレートを自動的に不鮮明にする技術)があるから大丈夫だと主張している。更に簡便な削除ツールをInformation Commissionerに約束すると。
Dr Ian Brownは警鐘を鳴らしている。


BBCの記事は、ストリートビューに対する住民の反発も描いています。

One village in the UK prevented Google from taking photos of the streets.

Residents of Broughton, near Milton Keynes, blocked the driver of a Google Street View car, which captures the photos, when it tried to enter the village.

Police were called after residents staged the protest, accusing Google of invading their privacy and "facilitating crime".

イギリスのある村はストリートの写真を撮るグーグルの妨害をした。
Milton Keynes近郊のBroughtonの住民はグーグル・ストリートビューの車(写真をキャプチャする車)が村に入ろうとしたとき、その運転手を遮った。
グーグルがプライバシーを侵害し、「犯罪を助長する」と非難しながら住民達は抵抗運動を起こし、その後に警察が呼ばれた。
(訳:vanya)


Information Commissionerがどういう組織なのかいまいち要領を得ないのですが、グーグルはInformation Commissionerを説得して(あと、合法的という理由で)、慢心していいのかと疑問に思います。
住民の反発心にどれだけ注意を払っているか気になるところです。家の写真は個人情報と言えば個人情報ですし。
(それにしても、普通のおじさんがちゃんと地面を走って写真を撮っているんだなぁと……そりゃそうなんでしょうけど)

*1:現在はPersonalDataからPersonalInformationになっていますね

*2:because some individual's faces were identifiable on Street View