高等学校普通科目「情報」考

プログラム制改革の際に検討しておきたい項目が、新入学生の「情報」に関する知識(と言うか固定観念)です。ここで言う「情報」とは普通教科の「情報」です。
みそウーマンさんが”表面的な知識を身につけさせるだけで、「おもしろい」とは言い難い授業”と、高校の「情報」に対してコメントされていたので、その辺を考察していきたいと思います。
「情報」には「情報A」「情報B」「情報C」の3科目があります。生徒は(と言うか学校は)その中から1科目以上を選択しなければなりません。

情報A
コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を通して,情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識と技能を習得させるとともに,情報を主体的に活用しようとする態度を育てる。
情報B
コンピュータにおける情報の表し方や処理の仕組み,情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させ,問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法を習得させる。
情報C
情報のディジタル化や情報通信ネットワークの特性を理解させ,表現やコミュニケーションにおいてコンピュータなどを効果的に活用する能力を養うとともに,情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解させ,情報社会に参加する上での望ましい態度を育てる。


まず高校の「情報」は”表面的な知識を身につけさせるだけ”の授業ではありません(〈面白い〉かどうかは個人の問題なので何とも言えませんが)。「情報B」「情報C」では授業の1/3以上を実習に割り当てることになっています。「情報A」では1/2以上です。そして”情報活用の実践力””情報の科学的な理解””情報社会に参画する態度”の3つの側面から「情報」が学べるように設計されています。既に高校生の段階から文工融合を味わっているじゃありませんか・・・・・・。(文部省『高等学校学習指導要領解説 情報編』(開隆堂出版)参照)
と・こ・ろ・が! 情報学部との隔たりは大きいです。その大きな隔たりは〈デザイン〉という言葉に集約されているように思います。高校の「情報」は、その人個人として情報とどう付き合っていくか、あくまで〈身近〉なところからの情報の理解を目指しています。これは 情報を武器にして社会に羽ばたこうとする私たち とは一線を画します。ユーザインタフェースもないし「著作権を保護しない方が文化が発展するんじゃない?」っていう疑問もあり得ないです。ここには”最先端のものであるよりも、生徒に分かりやすいものであることを優先させるべきである”なんて書いてあります。そういう認識なんです。
ですから単純に考えれば〈当たり前のことを教える苦労〉が減って、〈高校とのギャップを是正する苦労〉が増えるんです。まぁ、高校でどこまでちゃんと教えるかという問題はあるんですが・・・。「あなたたちは高校で『情報』を勉強してきましたから大丈夫ですね」みたいなことをある先生に言われて、正直、不安になりました。ある学生が「先生、やってません」と言って、先生が「あ、来年度からか」と返答・・・・・・、正直、かなり不安になりました。・・・余談が過ぎました。
みそウーマンさんのエントリーを拝見したとき、「情報」の悪影響(高校の授業の枠組みの中では別に否定しません)を頗る懸念しました。な・の・で、〈自己完結〉な文工融合ではなく、〈デザイン〉を目指した文工融合を1年生には力説すべきなのです!(おぉ、久々に言い切った)
多分みそウーマンさんもそういう意図で文工融合した科目を提唱されたのではないでしょうか。

今回も原則論で終わってしまったので、次回からは出来るだけ具体的な提案をしていきたいと思います。