中村雄二郎『述語集―気になることば―』

と言う本が岩波新書からでているのですが、なかなかお薦めです。現代を読み解く40の〈述語〉(terms)について著者が各項目およそ5ページにわたって解説するというものです。通常の辞典と違うのは、著者自身が文脈を用意し、ある概念(あえて観念とは言わず)について一定の輪郭を形成し、〈述語〉と共に私たちに〈思考の度量衡〉を与える点です。
例えば「道具は身体の延長である」「身体は道具である」といった〈身体〉に関する言説を論じるとき、私たちは〈身体〉という漠然とした問題意識を抱えていると言えます。この本では〈身体〉ということばとともに、そうした問題意識を含む簡潔なテキストが提示され、私たちは現代を読み解く鍵を手に入れることになるのです。


遊び、暗黙知、エロス、女性原理、神話、制度、プラクシス、暴力、病い、ロゴス中心主義などが〈述語〉として語られています。