匿名による無責任な発言

東京都府中市の中学校普通学級に通う知的障がいのあるAくん(中1)が、転校を迫る同級生の保護者からの匿名の手紙をきっかけに、障がい児学級のある中学校へ転校を余儀なくされる。
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/number/011221.htm


この同級生の保護者の行為は「仕方ないこと」なのか?


ガバナンス論演習のブログの一部でホットな「匿名性と電子フォーラム」の話題ですが、匿名とは発言に対して一切の責任を問われない状態です。例えその内容が、熟慮された結果を反映した的確な内容であっても無責任であることに変わりはありません。
古い事例ですが、一方で上記「同級生の保護者からの匿名の手紙」の主張も一理ある部分はあるのです。A君の通っていた学校の校長もその理屈を認めている節があります。


日本では「言いにくいこと」を言うために、匿名であることを用いらざるを得ないことがあります。「A君には迷惑している」と言ってしまえば、障碍者差別と関連づけて考えられてしまう危険があるけれど「A君には迷惑している」のは事実であって、多くを犠牲にしてまでノーマリゼーションの理念追求をすべきではないという思想がベースにあるのでしょう。


発言しにくい空気を改善しない限り無責任な発言が横行することでしょう。匿名性を認める文化より、正常に発言できる文化を作っていくことの方が大事だと思いました。「A君には迷惑している」という発言についても認めるべきでしょう。
尤も、この手紙に於いては「○○してください」という命令文の形で、他の選択肢を否定した体裁をとっているので如何なものかとは思いますが。