1年次に開講できそうな科目は?(IS編①)

今回だけでこのIS編の議論を終わらせることはできません、とまず申し上げておきます。ISは文工融合の代名詞、情報学部全体に関わるプログラムだからです。なので、まずプログラム制全体に対する私の今まで学んできた上での見解を中心に述べたいと思います。
以前のエントリーで私が提案したとおり「モデリング」は1年次に開講しても良いのではないかと思います。CSの友人が言うには「データベース論」を1年次に開講しても良いという案があります。
佐藤先生も指摘されたように、IDプログラムでは技術に関する知識が不足しがちです。情報社会学部ではなく情報学部です。文工融合を標榜しています。薄っぺらに解釈すれば〈工〉とは情報技術=ITを指します。人間とITを結ぶキーワードとしての〈情報〉を学ぶ訳です。〈工から文〉〈文から工〉というIS的なアプローチが、情報学を理解する上で不可欠なのではないでしょうか。ただ、IS=ITではないので、佐藤先生の考える〈ブラックボックスではまずい問題〉の根本的な解決には至らない気がしますが・・・。
計算機科学は、情報の〈器〉を設計します。情報社会学は、〈器〉を通過した情報が人間や社会に何の影響を与えるかを分析します。また、その分析等によってどのような〈器〉が求められるかが重要でしょう。CSプログラムはどんな〈器〉が必要かを踏まえて〈器〉を設計し、IDプログラムは、〈器〉の特性と社会に与える影響を踏まえて社会を設計する人材を育てるものだと思うんです(本当はある程度技術的なレベルで何が望ましいか提言できると望ましいのですが)。ですからCS=理系、ID=文系 という一辺倒な理解ではなく、CSもIDも文工融合という世界を経験した後、理系(本当は工科系)、文系というバックグラウンドに舞い戻って情報を見つめるという、流れを含めた理解をしております。図式的には{工業系|工学部 CS IS ID 人文学部|文系}と考えるべきだと考えています。
ISは〈器〉を通る情報が、人間というシステム・組織というシステム・ネットワークというシステム・コンピュータというシステムのなかで伝達・変容していく様を包括的に捉えて学ぶプログラムだと考えています。しかもその中でシステムを設計する活動も含まれます。(こうして見ると全てのプログラムが〈設計者〉を志向しているんですね)
「データベース論」を受講している人は習ったと思いますが、三層スキーマ構造という考え方があります。データベースを設計する際、人がアクセスする部分=外部スキーマ と 計算機内で処理する部分=内部スキーマ と データとしてどのように現実を切り取るかどのように管理するかという一連の体系=概念スキーマ の3つを考えなければなりません。これを3プログラムのモデルとして考えることはできないでしょうか。
「データベース論」は難しい考え方です。そこで「データベース論」を含めたIS系科目へのきっかけとなり、しかも情報学部にとって有効である授業科目があったら良いなと考えたわけです。今、脳内を巡っているのは「情報検索論」「情報検索演習」「情報デザイン論」の3つです。これらについてはまだ未整理なため、具体的な議論はまだできませんが、近いうちに書いていきたいと思っています(あ、どれもシラバスには書いてありませんから)。