1年次に開講できそうな科目は?(IS編②)

「情報検索論」「情報検索演習」の話です。
「情報検索論&演習」という授業科目は情報学部には存在しません。一般に「情報検索論」は理工系の講義科目です。そして「情報検索演習」は司書過程科目です。どちらも「データベース論」と関連の深い科目です。この「情報検索論&演習」は情報システムを理解する上で、また「データベース論」の理解を助ける上で有効な科目です。
1年次に開講する科目として想定しているので、私はあまり理数的な内容になるべきではないと考えています。そこで「情報検索論」の体裁をとりつつ「情報検索演習」の要素を取り入れるべきだと思います。現実世界から情報を切り取り、データ化し、検索にかけたとき、ユーザの欲求と検索結果がどれだけ一致するか(適合性)、何を検索するか(検索対象)、どうやって検索するか(検索方法)の基本概念を学び、実際に検索実験をしてみてどうすれば〈適合〉するのか考えます。またオンディスク検索とオンライン検索の違いを体験的に学習し、できればハイパーテキストやデータベース、情報システム設計者の役割などについて触れることができるといいと思います。認知科学的な内容は深入りしません。
プログラム選択のための〈ISを実感できる授業〉として考えていますので(もちろん教養としてもですが)、科学科なら「エレクトロニクス入門」、社会学科なら「メディアリテラシー」と同時に開講すれば負担は少ないはずです。両方は体験できませんがプログラムに進学してから悲しむよりはマシなはずです。
IDの「メディアスタディーズ」の予習的な位置づけとなるのが「メディアリテラシー」のはずです(もちろん教養としても)。ならば「情報検索論」は「データベース論」の予習的な位置づけになるのではないでしょうか。体験を通して理解するというのがミソです。「データベース論」は理論ばかりで実際のデータベースを扱わないから捉えにくいといった感想をよく耳にします。「エレクトロニクス入門」が適切かはチョット自信がありません。


参考文献
David Ellis『情報検索論-認知的アプローチへの展望』(丸善株式会社)
渡部満彦et.al.『情報検索演習』(樹村房)