【比較講義録】ガバナンスの定義

本日、吉田先生の講義で”2つ目の”ガバナンスの定義が出てきましたので、比較してみることにします。
初回のガバナンス論講義*1は、

  • Governanceの辞書的な意味と定義
  • 国連によるグッド・ガバナンス(8つの基本的性格)
  • ガバナンスのメリット・デメリット

の3項目についての講義でした。
講義資料で示された定義は以下の通りです。

  • 討論や協働による合意形成・秩序形成の仕方
  • 実行と決定の当事者(関係行為者)の参加
  • 決定や指示はトップダウン式ではない
  • 合意や秩序の形成は双方向的な流れで形成


オリエンテーション資料の赤尾先生の定義は以下の通りです。

近代を支えてきたトップダウン形式(あるいは代議制)による「統治」(ガバメント)に代わる,多様な関係者が自発的意思に基づいて参画した上でオープンな形で実施される,合意・秩序形成のプロセス
ガバナンス論オリエンテーション


ほぼ一致しているようですが、少しだけ異なる点を挙げたいと思います*2

>実行と決定の当事者(関係行為者)の参加
>多様な関係者が自発的意思に基づいて参画した上で

まず、赤尾資料*3には「自発的意思」に関する記述があります。「親に言われたから」などの他律的な意思はガバナンスではないという訳です。
次に、参加と参画の違いです。大して違いはないのですが、大学祭などをイメージした場合、「参加」とは大学祭そのものや運営に参加するイメージで、「参画」とは大学祭の立案や方針決定に参加するイメージです。ただ、”実行と決定の当事者””多様な関係者”としているので、殆ど違いはないものと思います。
また議論の性格について、吉田資料は「双方向的」だと表現し、赤尾資料は「オープンな」と表現しています。吉田資料は議論が行われてからどのような性格を持つのかについて、赤尾資料は議論が行われる前の要件についてそれぞれ着眼しています。


どうでもいい感想ですが、この程度の違いは混乱するレベルではないと思います。

*1:ガバナンス論のことだが、ガバナンス論演習と対比させている。

*2:トップダウンに対する概念であることや、合意形成・秩序形成を謳っている点は一致している。

*3:と、便宜上呼ばせていただきます