ボランタリーな活動と持続可能性――演習「J-文庫プロジェクト」――

今回の演習は「J-文庫」が題材でした(吉田の物置に資料があるはず)。
J-文庫のように学生による自発的な活動は制度化されておらず、「やりがい」や「情熱」がインセンティブ*1となって維持されています。ですから、図書館のように維持・運営されている状態が当たり前ではないのです


今回の演習で気になったのが、「データベース化」だとか「宣伝活動の強化」だとか(利用者側としては尤もな意見なのですが)運営者の立場に立って考えきれなかったと思いました。
赤尾先生が「ロールプレイングをするという課題設定で、役割を演じるためには実態を知らないといけない」という見事な佐藤先生のロールプレイングによって明らかにされた通りだと思います。
折角運営者=発表者がいるのだから、「運営者の人数は何人?」とか「やる気あるの?」とか質問すればよかったんですけれど。前回と違って具体的な問題設定ですから。


運営者としては、面倒はなるべく抱え込みたくない訳で、「大変だ」とか「忙しい」とかになってしまうと、新しいメンバーも気が引けてしまうでしょう。ボランタリーな活動は持続可能性が重要だと考えます。あまり運営が煩雑になりすぎるとメンバーのやる気が減退して、システムの維持そのものが困難になってしまいます。今回のディスカッションでは「こういうシステムを導入したらもっとよくなる」というユーザ側の視点が目立ちましたが、「こんなシステムは要らない」といった意見は見られませんでした。ガバナンス論の観点から、活動の持続可能性に注目してシステムを簡素化することも視野に入れても良かったと思います(実行者・運営者側の視点)。
勿論、本当に利用者にとって良いシステムなら導入するべきなのでしょう。
コミュニケーションノートなどによる利用者の声を(大学側に対する)「公共性の証明」として利用しようという文脈がありましたが、実はこの利用者の声こそがボランタリーな活動に対する大きなインセンティブになるのではないでしょうか?

*1:やる気を起こさせるもの